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第14話 多才で多彩な作品を創る
力石香織

 

私と香織ちゃんは親子ほどと言っても過言ではないくらい年齢差があるけれど
私にとっては”頼れるお姉さん”という感じ

出逢いはキャンドル作家のRanちゃんがうめ庵に連れて来てくれたのが
始まりだったと記憶してるけれど
そこからどうやって距離を縮めてったのかは全く覚えてなくて
不躾にもいきなりワークショップやって欲しいって頼んじゃって
気づけばそこから毎年うめ庵でワークショップやってもらってる 
春も秋もやってもらった年もあったし
香織ちゃん的には負担が大きかったんじゃないかなーと今さらながら思ったりするけれど
うめ庵に来るお客様も香織ちゃんのワークショップをとても楽しみにしてくれていて
2019年にうめ庵恒例の秋の展示に参加してもらって2021年からは毎年秋展を一緒に
やってくれている
今となっては私だけでなくうめ庵にとっても欠かせない存在の香織ちゃん

 

こどもの頃から絵を描くことはわりと好きで家族と美術館に行くことも多かった
1日ひとつ何か好きなことを書くという宿題が出た時も簡単な絵を描いて提出してたけれど
部活は水泳部 選択授業も美術ではなく書道をとっていた
好きなら別に何をいわれなくてもやれるだろうと積極的に美術を習うことをしなかった

高校3年で進路を選ぶ時に少しだけ絵の教室へ行ってたけど
見たものをそのまま描くデッサンが苦痛で課題を全くこなせなかった
伝統工芸いいなーっ でも美大は無理そうだし...専門学校がある!
というわけで専門学校へ進み 4年間着物染色を学んだ
主にろうけつ(臈纈)染めの制作をしてたけど型染めや藍染め 
友禅染めも授業にあって染色をひと通り勉強した
卒業間近になって おや?仕事がないぞ に気づく...
一旦それは無視してバイトもやめて貯金を切り崩しながら卒業制作に注力
朝から晩まで制作に没頭し完成させたことはとてもいい経験になった

たまたま染色講師のバイトを見つけて行った先は他のいろんな講座が集まるところで
その中で彫金 革やガラス 木や陶やイラストレーターの基礎を教えてもらった
そこは多様性の塊で本当にいろんな人たちがいた
これは私にも生きていく道はあるかも...
と なんだか希望の光がみえてきたのはこの頃

高校卒業してからの6年くらいがわたしの青春で
それはもう世界が広がって なんだか無敵だった

...無敵じゃないぞ
と気づいた その後も環境は何度も変化していったけど
ここでも人に恵まれ助けられて作品づくりはずっと続けられている



とにかくたくさんの素材を持っているので 
生きてるうちに使わねば! 
必要になったから作ってみた!
っていうことがほとんど

金属は アクセサリー欲しさに
羊毛は 盛る立体の練習
木は 削る立体の練習
革は お財布が欲しくて
編み物は はげ隠しにニット帽から始めて
刺繍や洋服づくりは 友人たちの影響で

ひとりでもたまたま長く続けられているのは彫金だけど
素材はなんでも良くて
編み友がいるから編み物は楽しいし ふわふわは癒し

最近のモチーフの選び方はランニングや自転車で走った冒険の先に見つけた
かわいいものから想像する
インスピレーションを与えてくれるミューズ(ギリシャ神話に出てくる女神)の
ような存在の人たちからイメージしてみることもたまーにある

稀にそのまま作り上げられることもあるし
全く違うものが出来てくじけてべそかくこともある

元気になったら同じ作業でわーっと作ってみたり
根気よく形の追求をもう一歩先まで頑張ってみたり

その中で良く出来たものをお裾わけさせてもらってる
収穫した野菜を軒先で売ってるという感じ
だから作品と呼んでいいのか?とそこも悩ましく思ったりもする

 

作品も 人間性はもっと未熟で本当にたくさんの人たちに助けていただいてるけど
未来ても人生のどこを切り取っても
いつだってつくり続けてたいなー

できる日もできない日もあるけど
ご飯創ったり掃除したり
亀たちと挨拶して 植物に水あげて
ほんの少しでも”つくる時間”があったら 良い1日
うっかり自分の世界にこもりすぎるから
人を知ることや 考えることも続けて
いろんなことを経験したいなー

たまには 山登りもキャンプもしたい
自転車も連れて遠出もしてみたい
畑もしてみたい

身体も大事!

変化を怖がらずにゆっくりでも成長し続けて
届けたいなって思う

作業場風景

 

 
 

 
香織ちゃんの書いてくれた文章は実に正直で
自分のことをとても控えめに語っている感じはその人となりがよく出てる
いつもうめ庵で一緒に何かしてる時も一歩引いてものごとを冷静に見てるなって思っていて
周りへの気配りにも長けている
最初にも書いた 出逢ってからどうやって距離を縮めたのか思い出せない
ということの答えは
そもそも距離を測らずとも「私 この人のこと好きだ」って思わせてくれたからだった

香織ちゃん自身は作品も人間性も未熟だと書いてるけれど
私からしてみたらどの分野にしても興味もったら探求していくことへの努力は惜しまないし
私よりもうーんと年下だけれどいつも私の毎度おなじみなグダグダ話を聞いてくれて
それに対して話してるこちらが心地よく落ち着ける感じにさせてくれるあたりは
人間性が未熟どころか完全に私よりもオトナ

そしてびっくりなのはそもそも染色をやってたということ
私よりも染色について造詣は深く経験値も高いのに
そこを全く見せないのがすごいなーと感心してしまう
先日香織ちゃんの使ってた染めの道具をもう使わないからと頂いたのだけれど
小幅の伸子針(着物の反物の幅を染める時に使う道具)がたくさんあって
それはもう本格的に染色をやってた証
染色作家としてもやっていけるだろうに同じ空間で展示してる私が染色の作品並べてても
染色について何か言うこともない
私が逆の立場だったらこれってこうやって染めるんだよねとか
いろいろ言ってしまいそうだけど
人の領域に絶対に踏み入らないし尊重してくれる
これまた頭がさがる思いです


多才な香織ちゃんならではのワークショップは
簡単に出来るものから
しっかり体験してみたい人向けにも
毎年いろいろ考えて準備してくれている
革細工やニードルフェルトの時もあったし
最近人気なのは彫金のパーツを使った
アクセサリー作り
かわいいパーツをたくさん用意してきてくれて
それを選ぶのがまた楽しい時間で
子どもからおとなまで
みなさん上手に組み合わせて
オリジナルの素敵な作品を作ってくれている

今年のワークショップは何かな〜って楽しみに
思ってるのは私だけでなくお客様も同じ気持ち

香織ちゃんのパーソナルな部分は私自身もまだあまり知らないのかもしれない
多くを語る人ではないからっていうのもあるし
自宅で飼ってる生き物たちは結構変わっていたり 
編み物のふわふわが癒しと言ってるわりに飼ってる生き物たちはふわふわしてないなー
...とかね
自転車で藤沢から東京まで行ったりするしなー
...とかもね

香織ちゃんって面白いよなー魅力的だなーなんていう言葉だけでは表現出来ない
私の語彙力ではうまく伝えられないので
是非うめ庵で香織ちゃんとお話してみて欲しい

つづきはまた えんがわで話そ

                         2025年秋 丸山晶子

 
 
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